フィンランドの伝統祭で小海を明るく照らす

フィンランド。夏至祭の立役者となっているのが、町の有志によるこうみ熟。
国の地域づくりアドバイザー事業で学習を重ねた住民たちが、1995年に発足させたものだ。以来、行政任せではなく、住民の自主的な活動による地域づくり・町おこしをめざしてきた。
こうみ塾発足当初からのメンバー、古清水拓男さんは、「2002年の第I回夏至祭は、本当に手探り状態。
100人も集まらないこぢんまりしたものでした。梅雨の最中で、霧が立ち込めて寒くて……。、。でも、火を囲んで食べて飲んで語りあうのは素晴らしい体験でした。。翌年から時期を早めて梅雨を避け、ここまで回数を重ねてきました」と.言う。

フィンランドの大使館、航空会社、商工会議所などの協力を受け、地元住民のほかフィンランド好きの国内の人々など、現在では約350人が集う。メイン会場となる長湖畔のフィンランドヴィレッジでは、巨人なコッコや湖上コッコが燃え、1000個のキャンドルが輝き幻想的な雰囲気に包まれる。また6月5日に行われる夏至祭に合わせ、6月5日・6日は、小海フィンランド夏至祭ウォークとしてノルディックウォーキングの大会が開かれ、これも回を重ねるごとに参加者が増えている。

「夏至祭」を軸として地域活動に広がり
JR小海駅前ロータリーを始め、至るところで見られる小人プティリッツアも、こうみ塾から生まれた。北欧の伝説にある森の小人ノームは自分たちのことをプティリッツアと呼び、「自分さえよければ他の生き物はどうなってもいい」という考えを嫌うという。

このプティリッツアを小海町では、森林ボランティア「小海やすらぎ隊」の協力を得て間伐材を切り出し、こうみ塾のメンバーが運搬・加工して町の小学生に顔を描いてもらって木像を作っている。もう10年も続く活動で、毎年、町にプティリッツアが増えていく。小海町高原美術館の協力を得て、DVD「プティリッツア物語」もできた。
学芸員がこうみ塾のメンバーでもある回美術館の展覧会で取り上げたドイツの造形学校バウハウスの名物祭にちなみ、7年前からこうみ塾が中心となり「らんたんフェス」を開催している。手作りのランタンを持ち寄って日の落ちた商店街を約1時間行進。大勢の大人や子どもが自作のランタンを手に参加し、なかには手押し車で大きなランタンを押す人も

。理科の授業で豆電球を学ぶ4年生もランタンを作る。こうみ塾メンバーで、デザインや建築関係の人々が加わって、ものを作る楽しさを教えるというのも興味深い。

ものを作る楽しさ、発表する喜びを分ちあおうというイベントだ。こうみ塾メンバーで学芸員の中嶋実さんは、「こうみ塾にはノリのいい人、アツイ人が多くて盛り上がります。

次々とアイデでアが出るんですよ」と話す。古清水さんは「まだ町民に温度差はあります それでも興味を持ってくれる人が増え、いずれは小海町とフィンランドが姉妹都市として提携するような話につながればいいですね」と話している